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「ひとは生きてきたように死ぬ」 [産婦人科医]

当直のある夜、申し送りの時、巡回してきた師長さんとナースが
ある患者さんのことについて詰所で話をしていました。

産婦人科の患者さんではないのでよく知らなかったのですが、
かなり長い間入院していたそうです。
このお正月に家族がやっと家に連れて帰ることになってよかった、という話です。

 「家族って、一緒にいるのが一番なんですよね。」

ボクはいつもそう思っています。
入院が長くなればなるほど、家に帰るのが不安になるものですが、
それでも、自分の家以上に居心地がいい場所があるはずはないし、
家族が一緒にいればこそ頑張れると思っています。

「でも、あの患者さんは、そうじゃないんですよねぇ・・・。」
 「そんなの寂しいやん。」

いろんな事情があるようです。家族が介護を完全に拒否しているらしいのです。

 「その人にとって、家族ってなんなんでしょうね・・・。」

ため息をつきながら、静かに話していました。

そしたら、その師長さんがぽつりとこう言いました。

「○○師長さんがいつもいってるんです。 『ひとは生きてきたように死ぬ』って。」

多くの命を看取ってきた経験豊富なナースがいった一言が、ボクの心に突き刺さりました。
死ぬときこそ、その人の人柄がでるということなのでしょうが、
ボクは、家族を大切にしないことがいかに罪深いかという意味だと解釈しました。
それにしても、人の死に対して、あまりにも冷静な言葉です。
この冷静さがすこし、怖くもありました。

生まれてくることだけで一生懸命な小さな命をたくさん見つめてきたボクにとって、この言葉は衝撃でしたが、これからもすべての命を正面から受け止めていこうと思いました。




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共通テーマ:妊娠・出産

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うそっきー

師長さんの仰るとおりだと 私も常々感じております。
生の延長でしかないですものね、死とは。

ハル先生、よい年をお迎えください。
来年も心に染みる記事を 楽しみにしております。
by うそっきー (2011-12-30 16:24) 

ちばおハム

病院に働いていると人が亡くなる、ということが日常的にありますからね。3年で燃え尽きてしまったちばおハムは、長い間勤務されて、婦長さんになられた方々を素晴らしいなあ、と尊敬しております。
婦長さん方はもっとたくさんの家族や患者さんを見てきたんでしょうね。

haruさんもお体を大切にされて来る年もご活躍を期待しています!!
by ちばおハム (2011-12-31 07:35) 

ひろもいchan

母親の介護をされていた方が、同じようなことを言っていました。
病院で看護師さんたちが話していた言葉だったようです。

2011年は大震災があり、お腹の子を亡くし、私にとって大変苦しい一年でした。
それでもそのような中で、haru先生のブログに出会い、癒されたり励まされたりしました。
ありがとうございます。

年末年始も産科の先生はお忙しいのでしょうね。
どうぞお体大事にされ、元気に笑顔でよい新年を迎えてくださいね!

by ひろもいchan (2011-12-31 11:54) 

さくら

私自身、子供を怒ってばかりなので、自分が子供たちのお世話になる時、同じように扱われるかもしれないなって思います。
さらに、私の両親がもし介護が必要になった時に、誰がお世話をするのか
もめそうな気がします。
そんな親のもとで育ちましたから^^;

先生にとって、今年も良い1年になりますように。。。
そして、お忙しいとは思いますが、ブログの方も楽しみにしています♪


by さくら (2012-01-01 10:42) 

ゆーみん

haru先生
あけましておめでとうございます

お正月はどのように過ごされましたか?
お仕事でしたか?
お産にお盆も正月もありませんもんね・・・

私も3日が仕事始めになります・・

Haru先生にとって2012年が実り多い一年でありますように・・♡


by ゆーみん (2012-01-03 01:22) 

haru

うそっきーさん、コメントありがとうございます。
明けましておめでとうございます。
今の病院に来て、生まれて生きて行くことと同じくらい、死ぬことも考えるようになりました。
おっしゃる通り、死は生の延長に過ぎないのかもしれないのですが、いろんな死に接するボクら医療者にとって、そのあり方が患者さんに対して決して押しつけになってはいけないのだろうと思います。
by haru (2012-01-03 18:16) 

haru

ちばおハムさん、コメントありがとうございます。
明けましておめでとうございます。
ナースという職業を長年続けることは、それだけで才能だと思うことがあります。それだけ大変な仕事なのです。
今回のこのひとことについて、数日後にその場に居合わせた小児科の先生とも再び話し合うことになりました。
自分自身の生き方についても考え直す必要がありますね、という結論になりました。
by haru (2012-01-03 18:29) 

haru

ひろもいさん、コメントありがとうございます。
おかげさまで年末年始はゆっくりできました。
この患者さんというのは、じつは、10代の小児科の患者さんなのです。重度の障害があり介助なしに生活できません。
ご両親がいろいろな事情があり病院から連れて帰らないそうなのです。
自分の子供をいろんな理由を並べて家に連れて帰らないなんて悲しいと思いました。
この親御さんの人生って一体なんなんだろう、って思いました。
きっとこのお父さん、ろくな死に方しないよね、なんて話していたときに、婦長さんがいったひと言がこの言葉でした。
ここでいうのは、入院している患者さんの死に方ではなくて、ご家族の死に方のことです。
こわい話ですが、医療の現場ではけっして珍しくないリアルな話ですよね。
by haru (2012-01-03 20:25) 

haru

さくらさん、コメントありがとうございます。
自分が介護される姿をイメージしながら子育てをするひとなんていないんじゃないでしょうか?
子供を愛し、自分のすべてを捧げることが最大の約束なのかもしれませんね。
自分の息子には、「いい奥さんもらってね。」というしかありません。
by haru (2012-01-03 20:29) 

haru

ゆーみんさん、コメントありがとうございます。
この年末年始は、申し訳ないくらいのんびりと過ごしました。
「来年はきっともっと忙しいかもね。」と言いながら過ごしました。
初詣にでかけた神社でも何人かの知り合いの産婦人科の先生たちと出会いました。
いいお正月でした。
by haru (2012-01-03 20:35) 

原田そら母


ブログの内容とは違うコメントで申し訳ございません。
約5ねんほど前にB病院に入院中にお世話になりました。昨年の春に第二子を妊娠し、夏ごろからまたお腹の張りがでてきたためB病院に連絡し受診をお願いしたところ、先生が9月いっぱいで違う病院にうつられることを伺いまして、とりあえずまだお腹の張りのみなので本当に入院となったら今勤務されている病院に行こうと思い過ごしてきました。今回は入院することもなく現在38週に至ります。
また切迫で入院になったりしてしまうのが怖くて、やっぱり赤ちゃんを授かりたい!!と強く思えるまで長い月日がたってしまいましたが。
先日同室だった双子ちゃんを出産したIさん、Nさんと先生のお話していてとても報告したくなりコメントさせてもらいました。先生とまたいつかお会いしたいとみなさん思っておられるようです。
by 原田そら母 (2012-01-10 11:16) 

haru

原田そら母さん、コメントありがとうございます。
なかなか第2子の連絡がないと、気にしていました。
よほど、前回の妊娠の印象が悪かったのか、と。
やはり、それなりの時間が必要だったんですね。
今回は母児ともに元気そうでなによりです。
お産、頑張ってくださいね。
また、子供たちがそろうことがあったら、写真送ってください。
by haru (2012-01-13 12:04) 

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