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残りの人生でしておかなければならないこと [産婦人科医]

高校の国語の授業のときのことです。
先生が、なにかの話の流れで
こういいました。

「君たち、雪の金閣寺をみたことがあるか?」

ボクたちの多くは、首を横に振っていました。
先生が続けます。

「あの美しさは、人生で、死ぬまでに、一度は観ておかないといけない。」

ボクたちは、その言葉を静かに聞いていました。
それから30年以上が経過して、
高校生大学生、と機会があるたびに
金閣寺を訪れましたが、
夏だったり、秋だったり、
雪が降っていることはありませんでした。
金閣寺を訪れるたびに、
あの国語の先生を思い出し、
 「今度くるときは、雪が降ってるかな?」
と思っていました。

今年の正月は雪が積もっていたので、
初詣での帰りに、少し足を伸ばして、金閣寺に向かいました。
でも、考えることはみな同じなのか、
駐車場に入るだけで何百メートルも大渋滞していました。
なかなか縁がないものだなと感じて、
Uターンして帰ってきました。
あの国語の先生に申し訳ない気持ちでした。

そして、今朝、
朝起きたら、また、雪が降っていました。
今年の京都はよく、雪が降ります。
20センチくらいの積雪でした。
朝ご飯を食べたあと、
突然、明るい陽がさしてきました。

 「こんな日の金閣寺を観とかないと。」

思い立って、すぐに準備を始めました。
家族はみな、まだ寝ています。
帽子をかぶって、長靴はいて、ひとりで出かけました。

さすが世界文化遺産だけあります。
すごい人でした。
ざわざわと人ごみの向こうに、
雪を冠った金閣は、
静かに、凛として、佇んでいました。

あの先生が言った、この金閣の美しさは何だろう。
今日、感じたことと、その意味を考えてみました。

高校生や大学生の時に観ていたとしたら、
今日の、この金閣の美しさは、
きっと、違っていたかも知れません。

30年以上、ずっとやり残していた宿題を、
やっと提出できるようなほっとした気持ちにもなりました。

そして、
この年齢になった、ボクは、
雪の金閣を眺めながら、
自分の残りの人生でしておかなければならないことって
何だろう、と考えました。

まだまだたくさんの、しなければならないことがあって、
追いつめられるような気持ちになることもあります。

これからのボクが、
できることなんて、そんなに多くありません。
それでも、
できることから、少しずつしていこうと思いました。

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